上野で、秘仏と出会う
運慶展から、約1年ぶりのトーハク。
ここから眺める佇まいも好きです。
なんでこの写真こんな左に寄っているのか…
京都大報恩寺 快慶・定慶のみほとけ
上野公園内、東京国立博物館の平成館で開催されている特別展です。
「大報恩寺」は京都上京区にある、鎌倉時代初期に開創された真言宗智山派の古刹。
こちらのお寺が所蔵している、鎌倉仏像彫刻の展覧会です。
音声ガイダンス(520円)をレンタルして、解説を聞きながら見学いたしましたよ〜
見どころ① 秘仏釈迦如来坐像と十大弟子
部屋の前方中央に、御本尊の釈迦如来坐像。
それを取り巻くように、十大弟子立像が展示されています。
何年も前の興福寺阿修羅像の展示でも思ったけど(めちゃくちゃ並んだやつ)、配置とライティングが絶妙〜
博物館なんだけど、厳かな雰囲気が漂っていて圧倒されます。
尊さを感じさせつつ、芸術的に魅せるって、プロだなぁ…
こちらの釈迦如来坐像は、快慶の高弟で事実上の後継者、行快の作。
釣り目がちな双眸と、丸みのある面立ちが行快の特徴なんですって。
目鼻口のパーツがはっきりしていて、現代的なお顔をされています。
秘仏で、外部の展覧会に出展されるのは今回が初!
寺内でも年に4回しか公開されないそうなので、拝見できるのはとても貴重です。
十大弟子とは
釈迦の弟子たちの中でも特に優れている10名のこと。
阿難陀(アナンダ)羅睺羅(ラゴラ)優婆離(ウパリ)阿那律(アナリツ)迦旃延(カセンエン)富楼那(フルナ)須菩提(スボダイ)大迦葉(ダイカショウ)目犍連(モクケンレン)舎利弗(シャリホツ)の10名を指します。
それぞれに、特出した能力を持っていたそうです。
今まで見たことのあるどの十大弟子像よりも、一体一体が個性的で、人間味にあふれていました。
玉眼が、生々しさをより引き立てています。
快慶工房で作成されたと伝えられていますが、頭部の形状や衣類の裾の長さ等少しずつ特徴の違いが見られることから、快慶監督のもと複数の工房で作製されたのであろう、と言われているそうです。
個人的には、行快作と考えられている「富楼那」像の佇まいが好み。
でもって、阿難陀はやっぱりイケメンですね。笑
見どころ② 肥後定慶作 六観音菩薩像
六観音菩薩とは
聖観音・千手観音・馬頭観音・十一面観音・准胝観音(または不空羂索観音)・如意輪観音の総称で、地獄道や餓鬼道をはじめとする六道から人びとを救う仏として、平安時代以降に大変流行しました。
(オフィシャルサイトより引用)
https://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=1914#top
大流行した信仰ではありますが、光背や台座まで全て完存さるのは、なんとこの大報恩寺のもののみ!
繊細で破損しやすい光背まで残っているのは、奇跡と言われているそうですよ。
一部屋にこの六体の観音様が一同に介していらっしゃいます。圧巻!
展覧会後半の現在は、光背が取り外されており、お背中まで拝見できますよ。
作者の定慶は、慶派の仏師のひとり。運慶次世代の実力派仏師だったそうです。
仏像でありながら、手の混んだ華やかさのある作風が特徴。
衣類が空気を孕んで流れる様や、冠にかかる髪の束の質感など、細部まで表情をつけて彫り上げられています。
今回快慶の作品目当てで行ったのですが、個人的にはこちらの六観音菩薩の方がよりテンションがあがりました。
事前調べ不足でお恥ずかしいですが、すごく良いものを観られて幸せでした〜
聖観音菩薩像のみ、撮影許可されていたので、ありがたく撮らせていただきましたが。
が!
スマホのカメラがお粗末すぎて、こんなクオリティ…
ほんっっと、カメラ持っていけば良かった〜涙
ううぅ、ピンぼけしております…
やわらかく、繊細な表現が少しでも伝わりますでしょうか…
正面から、横から、後ろからと、6体の観音様を舐めるように拝見して参りました。
後ろ姿まで見せてくれるのが、博物館の醍醐味の1つですね。
中でも、右から2番目に配置されていた「准胝観音」(ジュンデイカンノン)に釘付け。
18本の腕のバランスと、物憂げな表情に惹き込まれます。
6体とも素晴らしかったので、これは単純にわたしの好みの問題ですが。
是非行かれた際には、お好みの仏様を探してみるのもよろしいかと。
博物館等で、素敵だなとか好きだな〜と思う仏像に出会い、改めてお寺にお参りにいくのもまた楽しみの一つでもありますよ。
興福寺の阿修羅像のように、ファンクラブがあったりもするくらいですから。アイドルですね。
まとめ
久しぶりに行きましたが、やはりトーハクの仏像展示は良いですね。
しかし正直なところ、展覧会としては物足りなさが否めません。
十大弟子も六観音菩薩像ももちろん素晴らしかったんですけど。ひとつの催しとして成り立たせるには、全体的に量が少ないし国宝もないし…
質、量ともに文句なしだった運慶展の記憶がまだ新しいですから、どうしても比べてしまいます。
寺院でお参りする時は、国宝かどうかなんて、全く重要ではないんですけどね。
博物館の中では、国宝ならではの独特なエネルギッシュさを拝みたくなる性でして。
とは言え、本来仏像は鑑賞するためのものではありませんから。
いつか大報恩寺を訪れて、お会いしたいなと思います。
昨年も、運慶展のあとに奈良の興福寺にお参りに行きましたし。
博物館はきっかけで、やはり本来あるべき場所で拝見して、きちんとお参りをするべきですよね。
…ということは、次の旅は京都かしら?
博物館情報
アクセス
京成上野駅 徒歩15分
会期
2018年10月2日(火)〜12月9日(日)
会場
東京国立博物館 平成館特別展示室 第3室、第4室
開館時間
9時30分〜17時(入館は閉館の30分前まで)
(ただし、会期中の金曜、土曜、10月31日(水)、11月1日(木)は21時まで開館)
休館日
月曜日
(ただし10月8日(月祝)は開館、翌10月9日(火)休館)
観覧料金
一般1400円(1200円/1200円)、大学生1000円(800円/800円)、高校生800円(600円/600円)中学生以下無料
( )内は前売り/20名以上の団体料金
詳細情報はオフィシャルサイトをご覧くださいませ